教室レポート「石けん膜には知性がある?! 〜針金立体がつくる膜の不思議〜」

【★更新日 2022/11/6】

 
 
8月20日・21日に行った「針金立体と石けん膜の実験教室」の様子です。
 
今回は小学2年生から6年生までの参加者が、大きく2つの部に分かれて、針金による立体づくりを通した色んな空間図形の体験と、石けん膜の実験を行いました!
 
 
 
色々な立体をよく観察してみよう!

立方体、直方体、三角柱、正四面体、四角錐(ピラミッド)…といった代表的な立体の模型をランダムに机に並べて、まず、それぞれ何を思い浮かべるか、どんな特徴があるかを、目で見て手で触ってみていきます。
 
そして、次にやってみたのが「グループ分け」。これら5つの立体を、大きく2つのグループに分けるとしたらどう分けられるか。また、どうしてそう分けたのか(それぞれどういう特徴があるのか)、自由に意見を出してもらいました!
 
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数学を“知っている”人は、大きく「柱(ちゅう)」と「錐(すい)」に分けるのが一般的かなと思います。柱(はしら)のように底面の形がそのまま上まで伸びているものと、ピラミッドのように各辺が頂上の1点に集まっているものですね。
 
でも、まだ知識を得ていなくて、ものの見方が固定化していない生徒たちは、もちろん全ての見方が鋭いということにはなりませんが(笑)、いくつか“柔らかい”考えを出してくれました!
 
 
 
針金で立体を作ろう!

そんなこんな皆で話をして、立体のタイプや特徴・名前に触れつつ、アイスブレイクをしたところで、実際に針金で立体を作っていきます!
 
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どうやって楽にうまく作るか、「一筆書き」の話も交えながら、考えていきます。

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辺の長さを測りながら、くねくね折り曲げて、立体を形作っていこう!
針金を結節するところは、ラジオペンチを使って潰す(圧着)ことで動かないよう固定できるよ。
 
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石鹸水の膜はどんな形になる?!

立体が完成したら、いよいよ石けん膜の実験に!
 
まずシンプルに、輪っかにした針金を、①普通の水と②石鹸水に浸けて、どうなるか確認。水では、ただ針金が濡れるだけで、膜はできません。石鹸水では、膜ができました。
  
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「なんで…?」
    
生徒の1人が「泡があるからだよ」と言ってくれました! ただ、よく考えると、石鹸水をバシャバシャかき混ぜたりスポンジに含ませてシュポシュポ握ったりすると泡立つのは、石鹸水の中に空気が入り込んで、そこ(空気と液体の境界)に膜ができているということ。つまり泡というのは膜ですね(笑)
 
でも、彼はもしかしたら普通の水はサラサラしているけど、石鹸水はちょっとドロッとしているという質感(粘度)の違いを言いたかったのかもしれません(^^)
 
 
 
「膜がなぜ出来るのか」という問題は、ここではちょっと置いておきましょう。すぐに答えが出なくても、日常の中で素朴な疑問をもつというのはとても大切なことだと思います。そして、そのことに少しだけでもしっかりと留まっておく。謎でいっぱいの世界・人生も、だんだんと点と点がつなぎあわされていくものです(^^)
 
 
さあ話は戻って、今度は自分が作った立体を浸すとどうなるか予想してもらいました。
 
今回は、全員が「立体のそれぞれの面に膜ができる」と。
皆さんも、ページの下にいく前にちょっと予想してみてください(^^)
 
さあ、予想通りになるでしょうか…!
 
 
 
予想に反する膜の不思議な形

おぉ〜…!!なんだこれは…!
 
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教室に麻糸をわたし、立体をぶら下げて観察できるようにしました。
 
 
 
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これは「正四面体」と「ピラミッド」に張った膜の様子。
正四面体の方は、中心に空気が入り込んで、こんな感じになっています!
 
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立方体も、ボウルから引き上げる時に石鹸水の泡が入ると、こんな形になります。
 
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小学2年生のお兄ちゃんと一緒に来た双子の弟たち。
遊びが止まらず、大変なことになっています…(笑)
 
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今回の実験を出発点に…

針金立体に張った膜は、どれも予想外で驚きの形になりました。この様子には、お迎えに来た親御さんたちも「へえ~すごい!」「きれい!」と声を上げて、見入っていました!
 
「膜はどうしてこんな形になるのか?」
「膜の形を決めているものは一体何なのか?」
 
今回の実験を出発点に、違った角度からの実験なども行いながら、探究していくと面白そうですね。そんな中に、遊びと学びが境い目なくシームレスに展開していくように思います(^^)
 
 
自分自身と勉強が、知らない間につながっていく。
いろんな事柄が連鎖的につながり、一つの“生きた流れ”が生まれてくる。
  
そんな「生き生きとした遊び⇄学びのダイナミズム」が、より確かに、より幅を広げ、大きな波の輪となって広がっていったら良いなと思います(^^)
 
 
すべての学問や芸術などは、人が自らの「存在」や「自然」について思いを馳せるところから始まったのだと思いますが、自然は、人が興味を持つときに、その神秘の光を放ちはじめるということかもしれませんね!