教室レポート「素数の糸かけ曼荼羅づくり in 別所温泉」

 
10月10日(祝)、別所温泉(大湯地区)の育成会主催で行われた「秋の特別授業」に講師として呼んでいただき、青空教室を行ってきました!
 
内容は、年齢に幅がありそうだったことや、今回は何か持ち帰れるものがあったら良いかなとも思い、以前行ったこともある『素数の糸かけ曼荼羅づくり』をやることに。
 
参加者は、小学4年生が3人・6年生が2人で、1年生のわんぱく男子が他の遊びに忙しく脱落したので(笑)、全員女の子となりました!
 
 
 
素数(そすう)との“良い出会い”

「コケコッコーー!!」とすぐ近くの鶏が鳴き、授業開始です(笑)
 
まずは「素数に出会う」ところから!
今回は、リズムに乗って太鼓を叩きながら、素数を見つけていくことにしました。
 
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最初は「2のリズム」で、強弱をつけて数をかぞえていきます。
(1)、2、(3)、4、(5)、6、(7)、8、(9)、10、(11)、12、…
 
このリズムの数たちが「2の仲間」で、「2」はそのグループの“リーダー”なんだよ!
 
 
数表シートを使って、「2」は“リーダー”だから◯で囲い、それ以外の「2の仲間たち」を好きな色で塗ります。
この数たちは、2の1倍、2の2倍、2の3倍…だから、「2の倍数」って言うんだよ。
 
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次は「3のリズム」で、同じように強弱をつけながら数をかぞえていきます。
(1)(2)、3、(4)(5)、6、(7)(8)、9、(10)(11)、12、…
 
そして「3のグループ」の“リーダー”である「3」には◯を、それ以外の「3の仲間たち(倍数)」をさっきとは違う色で塗っていきます。
 
 
早速「6」のところで、さっきもう色を塗っていたので、「6」は「2の仲間」でもあり「3の仲間」でもある(つまり公倍数)、ということがすぐ分かります。
 
 
皆すぐに、色を塗る数がどういうパターンで並ぶかに気づき、途中からはもう数えずに視覚的に一気に塗っていました!
 
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「4のリズム」も同様に。ただし、表を見ると、“リーダー”である「4」はすでに色が塗られていますね。だから、「4は自分のグループのリーダーなんだけれども、そっくりそのまま2のグループの中に入っちゃってる」ということが分かります。
 
 
じゃあ、「5のグループ」は?「6のグループ」は?と進めると、こんな風に◯のついた“数のリーダー達”が浮かび上がってきました!
 
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2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、… 
 
「今、それぞれのグループの先頭の数を“リーダー”って呼んだよね。それは、実はこのリーダー達がいれば『世界にあるすべての数』が全部作れちゃうからなんだよ!」
 
「えぇ、そうなの!?」
 
 
「皆、『味の素』って知ってる?」
「別にあの調味料があればどんな味でも作れるってわけじゃないんだけど(笑)、でもこの2、3、5、7、…っていう数は、この人たちがいればぜ〜んぶの数を生み出せるから『数の素(もと)』なんだよ。」
 
「で、日本語ではこうやって逆さまに読むとその言葉の意味がよく解るっていうことがよくあるんだけど、『数の素』をひっくり返すと『素数』ってなるでしょ? 実はこの数たちを『素数(そすう)』っていうんだ。数をつくりだす素(もと)。だから『素数』ね!」
 
 
素数とは何なのか、その本質的な意味をおさえつつ、こんな風に入っていくと、「へえ〜!」「おぉ〜すごい!」となります(笑)
 
 
小学生であれ、中学生であれ、高校生であれ、大人であれ、何事も「良い出会い方」ができれば良いですよね。
 
形式的で不自然な出会い方になってしまうと、それだけで心は閉じ、頭はシャットダウンしてしまったりもします。でも、自然な出会いができれば、それだけ心は開き、頭/意識も自然に流れていくのだと思います(^^)
 
 
 
「糸かけ曼荼羅づくり」+アルファの話

素数なるものに出会ったところで、いよいよ釘打ちと糸かけ曼荼羅づくりをやっていこう!
今回は、釘40本バージョンでいくことにしました。
 
あらかじめ開けておいた下穴に沿って、1本1本釘を打っていきます。
 
釘を打つのは初めてという人も、やっているうちにだんだんと使い方/力の入れ方のようなものを感じ取って、少しずつ上手くなっていっていました!
(皆、とても落ち着いていて真剣。笑)
 
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さて、今回のようなワークショプでは、時間の都合があるのでなかなか難しいですが、本当は「ぐるっと円になるようにきれいに(等間隔で)40本の釘を打ちたいんだけど、どうしよっか?」というところからやれたら面白いなと思います。
 
アイデア次第で色々な方法が考えられますし、そこには例えば、円の周りの長さや円周率の話が関係してくるかもしれませんし、あるいは正多角形をコンパスと定規で作図することなどが出てきたりするかもしれません…!
(数学を数学としてやらずに、算数/数学をナチュラルにやってる感じ。笑)
 
また、曼荼羅を作ったら「終わり」ではなく、そこから色々と発想や学びの広がりもあります。
 
 
教科・単元や学年といった“仕切り”に縛られることなく、今、自分の目の前にあることから、色々と世界を広げていくのです。それが先ほどの「自然な良い出会い」にもつながりますし、「物事が芋づる式に“広がっていく”」感覚は、人が皆、本来もっている好奇心を自然に呼び覚ましていきます!
 
 
 
★ ちょっと暴走…いや脱線します(笑)

世界は直線的な積み上げではなく、まるでWebのネットワーク構造のように「連環的」になっている、という感じでしょうか。
 
 
例えば、です。
 
さっきやった「素数はすべての数をつくりだす」という「数の素(もと)」の話から、「じゃあ、塩、醤油、味噌、お酒、味醂、出汁類などの調味料で、いったいどれだけの味を生み出すことができるのか」なんてことで、味づくりの調理実験をやってみたりもできますね!(壮大で大変な実験になりそうです…)
 
 
あるいは、「日本語は逆さまに読むと意味がよく解るものがたくさんある」というところから、(「はい、あなたたちはこれから漢文の勉強を始めます」ではなく)、今僕たちが使っている日本語はどんな風にできてきたのかということを、自然に見ていくことも出来ます。
 
そして、実は日本語はどこから来たのかがよく分かっていない「世界でも超稀な不思議なことば?!」なんてことになれば、日本の古代・歴史や自分たちのルーツの謎に思いを馳せていくことにもつながりますね。
 
 
もちろん、素数の話は、デモクリトスの原子論から現代の素粒子論へと至る話にもなり得ますし(教科にすると「原子は化学」で「素粒子は物理」? じゃあ化学って何だ、物理ってなんだ…?)、また、古代ギリシアを哲学や科学の発展の中心に据えるものの見方が広まってるんだけど、じゃあ、例えばインドとかを見てみようかということで、一緒にヴェーダの中にそういう話(世界認識)がないか探していったりするのも面白いですね。
 
 
 
歴史を見れば、今の(これまでの)時代ほど、物事がかっちりきっちりと区切られ整理されていた時代はあまりなかったのではと思います。様々なところで言われてきているように、これからの時代は、色々なことが絡みあい関係しあって、積極的な意味でもっと混沌とした(言わば宇宙的な)時代になっていくのだと本当に思いますし(混沌が極まれば精妙な秩序になるのかもしれません)、僕たちの「遊び⇄学び」「世界の見方」「意識のあり方」も、そんな風になっていけたら良いのでは、と思います。
 
 
「分断を癒す」。
 
悩み多き高校生の頃に、その意味するところを自分でも具体的には捉えられないままに抱いた“夢”でした(笑)
 
 
 
話は戻って…

そう、釘打ちです(笑)
 
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そして、さっき出会った素数のリズムで釘に糸をかけていきます! 
 
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皆、かなり黙々と糸かけをしつづけていました…!
このアクティビティは、皆、あるところから一気に深い集中状態に入っていきます。
 
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途中、陽が射して。
薬師堂のある素晴らしい場所でした!
 
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糸かけは、「次はどこの釘にかけるのか」という規則性をどう掴むかが、1つのポイントになります。
 
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皆、それぞれのカラーが出た作品が完成!
 
 
 
撮影の時、一番元気にしていたら、隣の子に「子供か」と突っ込まれました(笑)
今回は、お声がけをいただき、本当にありがとうございました!(^^)