教室レポート『素数の糸かけ曼荼羅づくりワークショップ』in 別所温泉 〜越境する21世紀の学びへ🌈〜

【★更新日 2024/4/1】

糸かけ曼荼羅づくりワークショップー作品

 
10月10日(祝)、別所温泉(大湯地区)の育成会主催で行われた「秋の特別授業」に講師として呼んでいただき、『未来の学校フェルマータ』の青空教室を行ってきました!
 
今回は何か持ち帰れるものがあったら良いかなとも思い、以前行ったこともある『素数の糸かけ曼荼羅づくり』をやることに。
 
参加者は、小学4年生が3人・6年生が2人で、1年生のわんぱく男子が他の遊びに忙しく脱落したので(笑)、全員女の子となりました!
 
 
 
 

素数との「ハッピーな出会い」


「コケコッコーー!!」とすぐ近くの鶏が鳴き、授業開始です(笑)
 
まずは「素数に出会う」ところから!
今回は、太鼓を叩きながらリズムに乗って、素数を見つけていくことにしました。
 
2のリズム、3のリズム・・で数を数える「音と数」のワーク
 
 
最初は「2のリズム」で、強弱をつけて数をかぞえていきます。
(1)、2、(3)、4、(5)、6、(7)、8、(9)、10、(11)、12、…
 
この数が2の仲間で、「2」はそのグループの “リーダー” なんだよ!
 
 
数表シートを使って、リーダーの「2」を◯で囲い、それ以外の「2の仲間たち」は好きな色で塗ります。
この数たちは、2の1倍、2の2倍、2の3倍…だから、「2の倍数」って言うんだよ😋
 
数表シートで、「2のグループ(倍数)」に色を塗っていく
 
 
今度は「3のリズム」で、同じように強弱をつけながら数をかぞえていきます。
(1)(2)、3、(4)(5)、6、(7)(8)、9、(10)(11)、12、…
 
そして「3のグループ」の “リーダー” に◯を、それ以外の「3の仲間たち(倍数)」は、さっきとは違う色で塗っていきます!
 
 
すると早速・・
「6」のところで、既にさっき色を塗っていたので、「6」は「2の仲間」でもあり「3の仲間」でもある(=公倍数!)、ということがすぐ分かります😙
 
 
皆んなすぐに、色を塗る数がどういうパターンで並ぶかに気づき、途中からはもう「視覚的なパターン」で一気に塗っていました!
 
2. IMG_2249_2
 
 
「4のリズム」も同様に。
でも表を見ると、“リーダー” である「4」は、すでに色が塗られていますね。
 
だから、「4は自分のグループのリーダーなんだけれども、そっくりそのまま『2のグループ』の中に入っちゃってる」ということが分かります‥!
 
 
じゃあ、「5のグループ」は?「6のグループ」は?・・と進めると、こんな風に “数のリーダー達” が浮かび上がってきました!
 
数表に浮かび上がってきた「数のリーダー」達
 
 
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、… 
 
「今、それぞれのグループの先頭の数を “リーダー” って呼んだよね。実はそれ、この数があれば『世界にあるすべての数』が全部作れちゃうからなんだよ!」
 
「えぇ、そうなの‥!?😳」
 
 
「みんな、『味の素』って知ってるでしょ?」
「別にあの調味料があればどんな味でも作れるってわけじゃないけど(笑)、でもこの2、3、5、7、…っていう数は、世界のすべての数を生み出せるから『数の素(もと)』なんだよ。」
 
 
「日本語って、こうやって逆さまに読むとその意味がよく解るっていうことがよくあるんだけど、『数の素』をひっくり返すと『素数』ってなるでしょ? 実はこの数たちを『素数(そすう)』っていうんだ。

すべての数の素(もと)。だから『素数』ね!」

 
 
素数っていうのは、いったい何なのか。
その本質を押さえながら、こんなふうに入っていくと、「へえ〜!」「おぉ〜すごい!」となります(笑)
 
 
===
 
人と人の出会いもそうですが、学び(勉強)も、自然な「いい出会い方」ができれば、子どもたちの心はどんどん開いていきます😙
 
素数というと、「1とその数自身以外で割れない数」みたいに言ったりもしますが、形式的な説明から入っていくと、それだけで何か、心がギュッと固くなったり、頭がシャットダウンしてしまったりも・・。
 
 
でも、“自然な出会い” ができれば、それだけ色んなことがすんなり、心や頭に入っていくもの!
 
その瞬間にこそ、「遊び」と「勉強」の境界線がなくなる、“本当の学び” が広がっていく時空間の入口があるではないでしょうか(^^)
 
本当の学び
遊び ← → 勉強
 
 
 

糸かけ曼荼羅から広がる「学びの世界」


素数という数に出会ったところで、いよいよ釘打ちと糸かけ曼荼羅づくりをやっていこう!
今回は、釘40本バージョンでいくことにしました。
 
あらかじめ開けておいた下穴に沿って、1本1本釘を打っていきます。
 
釘を打つのは初めてという子も、やっているうちにだんだんと「力の入れ方」のようなものを感じ取って、少しずつ上手くなっていっていました😙
(皆、とても落ち着いていて真剣。笑)
 
真剣に釘打ちをする子どもたち
 
 
さて、今回やった「糸かけ曼荼羅づくり」。
このプロジェクトは、ただ作品をつくるだけでは終わりません‥!
 
 
以前やった時には、きれいに等間隔に並んでいる下穴を見て、「先生、これどうやって穴あけたの?」なんて声も!
 
板にきれいに等間隔に並んでいる下穴
 
 
「ぐるっと円になるようにきれいに(等間隔で)40本の釘を打ちたいんだけど、どうしよっか?」というのを、皆んなで考えたりするのも、面白いです😋
 
アイデア次第でいろいろな方法が考えられますし、そこには、円の周りの長さや円周率の話がでてきたり、「正多角形を作図」することも出来るかもしれません。
(*数学を「数学」としてやらずに、“アート制作” の中で、どこまでもナチュラルにやってる感じ。笑)
 
コンピュータを使って、円グラフを描画するのも楽しいですし、そこからアプリの色んな活かし方につなげていくこともできますね🖥⤴︎
 
 
===
 
糸かけ教室は、作品をつくって「はい、終わり」ではなく、むしろ曼荼羅づくりを「出発点」に、そこで出会うことから、色々と発想や学びが広がっていく・・
 
そんなふうに、これからの学びは、これまでのような教科・単元や学年といった “仕切り” に縛られずに、「いま、目の前にあることから、縦横無尽に世界を広げていく」という形へ移行していくことが、ポイントになるのではないでしょうか💡
 
 
それが先ほどの、流れるような「自然な出会い」にもつながりますし、この「物事が芋づる式に広がっていく」感覚は、子どもたちが本来もっている好奇心を、自然に呼び覚ましていきます🤗⤴︎
 
 
 

「世界はすべてつながっている」〜越境する“21世紀の学び”へ〜


僕たちは、物事を「一から順々に、決められたカリキュラムに従って学んでいく」というやり方に慣れていますが、実はそもそも、人は “そんなふう” には学びません(笑)
 
もちろん何かある特定のことについて、「一定の知識やスキルを習得したい」という目的がある場合は、こういうやり方はとても有効です。
 
 
でも、「子どもがいろいろなことを学びながら、自己の世界を形成していく」といったスケールでの学びを考える時には、それよりももっと大きな世界のデザイン(枠組み)が必要になります。
 
 
そもそも〈世界〉は、直線的な積み上げではなく、Webのネットワーク構造のように、すべてがインタラクティブに連関しあう、「円環的なカタチ」をしているからです🤗
 
世界は円環的にすべてつながっている
 
 
例えば、です。
 
さっきやった「数の素(もと)」の話から、「じゃあ、塩、醤油、味噌、お酒、みりん、出汁などの基本的な調味料で、いったいどれだけの味を生み出すことができるのか?」なんてことで、食の探究実験をしてみたりもできます 🍽 (壮大な実験になりそう・・笑)
 
 
「日本語は、逆さまに読むと意味がよく解ることがたくさんある」というところから、「はい、今日はこれから漢文の勉強を始めます‥」という感じではなく、いま僕たちが使っている日本語は、どんな風にできてきたのか?ということを、自然に見ていくことも出来ます✏️
 
そして、実は日本語は “どこから来たのか” がよく分かっていない「世界でも超珍しい不思議なことば?!」なんてことになれば、日本の古代の歴史や、自分たちのルーツの謎に思いを馳せていくことにもつながりますね 🇯🇵
 
 
もちろん、素数の話は、デモクリトスの原子論から現代の素粒子論へと至る話にもなりますし(*教科にすると「原子は化学」で「素粒子は物理」? じゃあ化学って何だ、物理ってなんだ‥?)🔬、
また、古代ギリシアを学問(哲学や科学)の中心とする捉え方が一般的なんだけど、じゃあ、例えばインドとかを見てみようかということで、一緒に『ヴェーダ』の中にそういう話(世界の認識)がないか探していったりするのも、面白いですね 📚
 
・・
 
 
アート/図工、数学、家庭科(調理)、国語、歴史、サイエンス、哲学、‥
 
この〈学びの体験〉は、いったい何の “授業” でしょうか?
 
 
===
 
歴史を見れば、今までの時代ほど、物事がかっちり/きっちり区切られ、整理されていた時代はなかったのではないかと思います。
 
でも、世界はすべてつながっている
 
そうでなければ、学ぶことも生きることも、輝いてはきません‥!
 
 
今、いろいろなところで具体的な形が現れてきているように、これからの時代は、色々なことが互いに関係し結びつきあう、もっと「混沌」とした(いわば宇宙的な)時代になっていくと思いますし、それは、あらゆることが「本来の姿カタチ」に還るということだと思います🌈
 
 
教育ーー子どもたちの「学びのあり方」も、例外ではありません。
 
 
「分断を癒す」
 
悩み多き高校生の頃に、その意味するところを自分でもうまく掴まえきれないまま、抱いた “夢” でした(笑)
 
 
 

話は戻って・・(それぞれの作品が完成!)


そう、釘打ちです(笑)
さっき出会った「素数のリズム」で、釘に糸をかけていきます! 
 
糸の掛け方のコツを伝授
 
 
皆んな、かなり黙々と糸かけをしつづけていました…!
このアクティビティは、あるところから一気に、瞑想的な「深い集中状態」に入っていきます。
 
手仕事は、集中力を高め、「精神の安定」「心の落ち着き」を育むと言いますが、本当にその通りだと思います😊
 
みんな糸かけで、瞑想的な「深い集中状態」に!
 
 
途中、陽が射して。
薬師堂のある素晴らしい場所でした!
 
気持ちのいい「青空教室」の風景
 
 
糸かけ作業の中で、子どもたちは「次はどこの釘にかけるのか」、そのパターン(規則性)を感じ取って、掴んでいきます‥!
 
「あ〜そうか〜!」
やっているうちに “リズム” が生まれてきます💃 
 
糸かけのパターン(規則性)を感じ取り、掴んでいく!
 
 
皆んな、それぞれのカラーが出た作品が完成!
 
完成した曼荼羅をもって集合写真
 
 
撮影の時、一番元気にしていたら、隣の子に「子供か」と突っ込まれましたが、何か(笑)
今回は、お声がけをいただき、本当にありがとうございました!(^^)
 
 

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